15.7月更新
事例研修紹介
 事案1 業務(事業)用マンションの取得価額は、建物と附属設備等に分けるへきか。(所得税)


  納税者]は、平成5年分から平成9年分の所得税の申告にあたり、その所有する賃貸用マンション3室(うち2室は新築物件を取得したものであり、1室は新築後2年経過の中古物件を取得したもの)につき、土地及び建物等(建物及びその附属設備等の減価償却資産をいう。以下同じ。)を一括取得したこれらのマンションを、土地と建物等に区分し、更に、建物等のうち3割程度を建物附属設備として減価償却の計算をし、それぞれの年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入して所得税の確定申告をなした。

 ]の税務調査の結果、Y税務署長は概要次のとおりの更正をなした。
(1)土地及び建物等の区分については、相続税路線価を基礎として区分した]の計算を否認し、それぞれの固定資産税評価額の比により取得価額の総額を按分した。         
(2)建物とその附属設備の区分については、取得時の契約書等によりこれらの区分が明確にされていないことを理由に、建物と建物附属設備に区分してなした]の計算を否認し、建物附属設備を建物と一体として建物の耐用年数により減価償却費の計算をした。


減価償却を行うにあたっては、それぞれの取得価額が明らかでなければならず、取得時の契約書等により建物とその附属設備の区分が明確にできない場合においては、建物附属設備は建物に含め、建物の耐用年数により償却すべきである。

建物とその附属設備とは区分して償却する必要がある。土地と建物等を一括取得した場合においては、何らかの方法により土地と建物等には必ず区分する一方で、建物とその附属設備の区分については契約書等で明確でないことを理由として区分しない(建物に含める)というのは矛盾する。
15年4月15日(火)
長崎県地区連絡協議会研修会より


1.減価償却の本質

 適正な期間損益計算の観点から、その資産に投下された費用をその使用期間に配分
 所得税法上、減価償却は強制償却である。

2.建物と建物附属設備の区分

 建物とその附属設備とは別個の資産である。
 建物附属設備とは、冷暖房設備、照明設備、通風設備、昇降機、その他建物に附属する 設備であり、建物本体と区分して耐用年数を適用する。

3.家屋と附属設備の評価の具体的方法

(1)「固定資産評価基準」による建物と附属設備のそれぞれの評点数により総額を按分し、取得価額を算出する。

(2)「家屋の譲渡原価証明書」に基づき建物と附属設備の取得価額を算出する。
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      当該建物の建設業者作成

 鉄筋コンクリート造等の建物については、取得価額を建物と附属設備等に区分して償却計算をすることが義務付けられており、区分計算が困難であるという理由で附属設備等を建物に含め一括計算はできない。
「譲渡対価証明書」「再建築費評点数算出表」等を利用し、合理的に区分評価し、償却しなければならない。
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