平成18年4月更新 所長の部屋
  ひさかたの 光のどけき 春の日に
      しづ心なく 花の散るらむ

              
紀  友 則

  
風のいる すきまも見えぬ 山ざくら
      桜が山か 山が桜か

              
大田  南畝

春爛漫の四月になりました。この時期フレッシュな入学式・入社式等、さまざまなスタートのとき、私たちまで爽やかな気分にさせてくれます。春の日差しの心地よさ、厭なことをすべて忘れさせてくれるような、一から出直そうと思う方がおり、さぁ、今日からは売り上げを伸ばしていこうと張り切っている方もおり、春は爽快にさせてくれます。

先日のトリノのオリンピックでの惨敗の中、荒川選手の見事な金メダル獲得も本当に凄いものがありましたが、WBC世界野球大会での日本の優勝は全国民を挙げての応援、そして歓喜、久しぶりに見た日本人魂を心のそこから祝ったものでした。まだまだ日本人も捨てたものではない、その中でもイチロー選手の活躍はメディアもスポーツ評論家も、野球界もその選手達も絶賛、彼こそが最高殊勲選手であったろうし、まさにスポーツマンであったと感じさせたものでした。
思い起こせば、オリンピック選考会に漏れた一選手の誰はばかることなく号泣する姿を見るにつけ、スノーボード競技で失敗した選手の無性に地面を叩き雄叫びを伴い悔しさを露に吐き出す若者を見るにつけ、又ボクシングでは自分の強さを傲慢なほどに示し相手を愚弄するにつけ、荒川選手の金メダル受賞報告会でのロシアの選手がリンクで転んだときはヤッターって思ったなんて、ときの文科相が吐露する言葉、なんとスポーツマンシップのかけらもない、伝統の武士道・侍魂も地に落ちたと嘆き悲しんだ日本、その中での・・・イチローの活躍は全てを洗い流してくれたような爽やかさを蘇らせてくれました。

 かのピエール・ド・クーベルタン卿は
スポーツを実践することは真心と思いやり、なによりも“人間尊重の精神”を養うことであり、そのためには“ファインプレー”の価値を高めなければならない。とスポーツマンシップの原語に当たるような素晴らしい言葉を残しております。

 日本にも柔道・剣道・相撲道の中にも素晴らしいお手本の言葉があります。
『勝って兜の緒を締めよ。』
『礼に始まり礼に終わる。』
『負けて潔しとせん。』

まだまだ沢山の勝負の世界には人生を歩む上での参考になるいい言葉があります。

サッカーの世界には行動規範即ち、価値基準というものが設けられています。@最善の努力AファインプレーBルールの遵守C相手の尊重D勝敗の受容E仲間の拡大F環境の改善G責任ある行動H健全な経済感覚I社会悪との戦いJ感謝と喜び。これらは全て規範としての重いものばかりです。高校選抜野球での優勝候補と言われた高校で不祥事があり、選抜辞退という事件がありました。指導者の中に又、選手の中にこれら行動規範を忘れ全体責任を余儀なくされました。一般の人の中には、「一名または数名の違反者のために毎日、雪の中で懸命に練習を重ね一度しかないチャンスを棒に振る、残された選手が可哀相だ。彼らにはそれほどのものだろうか。」と言う方々もおりましたが
『選手の前に高校生であれ』
という重い言葉、そしてこの行動規範なのです。

最近、スポーツマンシップとは何かと問うことが多くなっております。私たちもこの機会に、スポーツとそのスポーツを通じての規範というものを考えてみたらどうでしょう。行動規範は商道徳にも相通ずるものなのです。

今月は私愛読の“文芸春秋”から抜粋したい話題がありましたが王ジャパンの活躍を誰よりも嬉しくスポーツを通じて一考して欲しいと優先いたしました。

 しかし、文芸春秋四月号の“脳内汚染が子供をむしばむ”168頁は必読です。心の発達を害するTVゲームやネット漬けの危険をさまざまな角度から警鐘し、子を持つ親御さんには是非とも読んで欲しいと思うテーマです。是非読んでください。

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