H16.9月更新  古典に学ぶ
大 要

名馬は一日で千里を走る。しかし、どんな駄馬でも十日も走りつづければ駿馬に追いつくことができる。

解 説

この言葉は荀子の名言として広く知られ、諸処に用いられる。荀子はさらにつづけて述べる。

「将に以て無窮を窮め無極を逐わんとするか。其れ骨を折り筋を絶つとも身を終うるまで相い及ぶべからず。将に止まる所有らんとすれば、則ち千里は遠しと雖も亦或いは遅く或いは先きんじ或いは後れるも、胡為れぞ其れ相い及ぶべからざらんや」

 要約すれば、自分の筋骨を断ち切るほど努力しても、無限の彼方に芦僧を求めるのであれば、実現するのは困難である。しかし、目標を一点に定め、それを生涯の的にすれば、千里の道のりは遠く、遅速先後の差は出てもどうして行き着けないことがあるだろうか、と述べている。まことにもって身に沁みる言葉である。
 希望にせよ、理想にせよ、大きいことはよいことだとばかりは言えないのではないか。手近の小さな希望を自分に叶える地道な努力が、やがて大きな希望を満たしてくれるのだと考えたい。
 

(き)は一日にして千里なるも、駑馬(どば)も十駕(じゅうが)すれば則ち亦之に及ぶ。
             ◆ 『 荀 子 』 脩身篇



   




英国の著名な画家ジョシュア・ホーランドがうまいことを言っている。
「速やかに生長するものは早く枯れ、徐々に生長するものは永く残ると」


 も ど る