16.3月  古典に学ぶ

(まこと)に日に新たに、日日に新たに、
又日新たなり。

                      ◆ 『 大 学 』
大  要 
新しい一日を迎えるたびに自分自身を向上させる、毎日毎日それを繰り返す、日が新しくなるたびに自分自身も新しくなる。
解  説
『大学』の名言のなかでも特に有名で、今日でもよく用いられる。端正で語調もよい。
 古代中国、殷の伝説的名君湯王が毎日使う手水の盥(たらい)にこの銘辞を刻んで日日の自戒とした、と伝えられる。
 自分の体の垢をこすって落とすように、こころも洗い清めて、昨日の悪習を取り除き新しい自分を磨く。それをくる日もくる日も弛まず行うことである。
 殷の湯王はこの言葉を日に三度唱え、日日自戒につとめたと古史に記されている。
 魯迅が『故郷』の中で、実によい言葉を残している。
「わたしは思った。希望というものは、もともとあるともいえないし、ないともいえないものだ。それは地上の道のようなものだ。もともと地上には道などなかった。歩く人が多くなれば、それが満ちになるのだ」
 昨日があって、今日がある。今日があるから、明日もある。日々の繰り返しの中で希望も鍛えられ、かけがえのない分身に育ってゆくのだろう。
 日日新たに、又日に新たなり、と念じつつ今日をしっかり生きたいものである。
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