15.12月更新  古典に学ぶ
    

◆ 大 要 ◆
一日一銭ずつ千日貯めれば千の銭となり、縄でつくったのこぎりでも根気よく木を挽けば切断できる。一滴ずつ落ちる水滴でも永い間には石に穴をあけられる。
◆ 解 説 ◆
明治大正にわたって日本の近代行政に卓抜な手腕を発揮した天下の大風呂敷後藤 新平は、「一に一を加えて億とす。これ根気なり」の名言を残した。
 いずれも、目標に向かって一歩ずつ前進する、たとえそれが微微たる歩みであっても、その積み重ねが大事を成就させる根本となると教えている。
 ひとはえてして性急を好むものだ。性急に結果を求めて途中で挫折することが、ことのほか多い。主題の言葉から、根気は目標達成への意欲、信念の強さに比例して根強くなることを学び取りたい。
 虚仮の一念という言葉もある。自ら定めた目標に対して、外目を気にかけるようでは大願成就はおぼつかない。たとえ、他人から融通の利かない木偶の坊とみられようが、一念を貫き通す強靱な精神を養うようにこころがけることが何にもまして肝要だ。
 一日一銭とは何とも妙を得た言葉である。塵も積もれば山となる、の諺言もある。日ごとに想うところを強めていけば、遠からずしてびくともしない信念が根付くはずである。
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