H15.9月更新  古典に学ぶ


千人心を同じくすれば、則ち千人の力を得()。
万人心を(こと)にすれば、則ち一人の用無し。

       ◇『淮南子』兵略訓篇

大 要

千人のひとがこころを同じにして行動すれば、そのまま千人の力を終結することができる。万人のひとがいても、それぞれがばらばらでいると、たったひとりの力にも及ばない。


解 説

ロシアの文豪アントン・チェーホフが皮肉るように、「共通の憎悪ほど人間を団結させるものはない」というのでは、はなはだ困ったことになる。しかし、こころをひとつにして大勢のひとが目標に立ち向かえば、たいていのことが成し遂げられるのも幾多の事実が証明しているところである。
そこで問題になるのが、どのようにすれば大勢のひとのこころを、善の方向へひとつにまとめ上げることができるのかということである。
 ここで西洋の叡知を拝借しようと思う。
 ラ・フォンテーヌの『寓話』に、「ひとは自分より小さい者の手助けを必要とすることがしばしばある」という言葉がある。
誰でも思い起こせば、ひとつやふたつは思い当たることがあるはずだ。
ひとの上に立つ者の姿勢として、このことをしっかりこころに刻んでおくべきだ。このこころが謙虚を育て、調和を生む母体になるからである。