古典に学ぶ H15 . 7月更新
人は生まれながらにして之を知る者に非(あら)ず、
孰(たれ)か能(よ)く惑い無からん。



ひとは生まれながらにして物事の道理をわきまえているわけではない。したがって、誰でも迷ったりためらったりするものだ





「汝自身を知れ!」・・・・アポロンの神託として知られる有名な言葉だ。デルポイのアポロンの神殿に刻まれていたと伝えられる。
 この言葉がソクラテスにはじまる西洋哲学の源流になり、いまもなおこの言葉の探求がつづけられている。そして、これから以後も未来永劫つづけられるだろう。
 自分とは一体、何者なのか。この問いに真正面から取り組む姿勢をないがしろにしてはいないだろうか。
 ひとの生涯は自分との闘いだ。
 時に迷い、時にためらい、思い直して一歩踏み込んでみる。これの連続だ。
 もし、迷いのないひとがいたら、そのひとは思考を停止しているか、自立のこころを失ったひとだ。
 ドイツの偉大な詩人シラーは「人間を偉大にしたり卑小にしたりするのはその人間の志である」と述べている。
 志を多角もちつづけるためには見識が要る。
 見識とは、そのひとの人格を行動で表す鏡である。
も ど る