15.4月更新     
は之をより取りて、しかもよりし。

◇『旬子』勧学篇
 大 要
青色の染料はという草から取る。しかし、その青色は原料であるよりもさらにい。
 解 説
先生よりも弟子のほうが優れていることを意味し、「出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ)」の典故となる言葉である。これは、もって生まれた才能を誉めているわけではない。先生を乗り越えることができたのは、一所懸命勉強し、努力に努力を重ねたからだ、といった意味が隠されている。
 理想は、部下が奮励努力してついに上司と肩を並べ、なおかつ上司を敬いながらさらなる前進を遂げてくれることだろう。
 単に昇進昇格というだけではなく、人格の向上にも役立てたい、きわめて大切な要件である。
 ひとそれぞれに能力の差があることはいかんともしがたい。評価を実績に重点を置くのは当然だが、隠れた努力にも目を向けることが是非とも必要だ。すべてのひとがよりくなることはないだろう。しかし、懸命にくなろうとする努力には正しい評価で報いることが必要だ。
 「賞賛には能力を育てる力がある」という言葉もある。
 期待する要点をうまく織り込んで長所を誉め、隠れた能力を巧みに引き出す評価法もある。江戸の大儒萩生徂徠(おぎゅうそらい)の名言に「人を用ゆる道は、その長所を取って短所はかまわぬことなり」とあるではないか。
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