第11回 実務のポイント
15.7月更新

=賞与を手取額で決めている時の税額計算=

Q11
 当社では、中途採用者に対して手取額ベースで賞与を決めています。この場合の源泉徴収税額は、どのように計算するのでしょうか。
 手取額ベースで賞与を決めていても、源泉徴収税は支給総額を基に計算しなければなりません。








 最近、給与だけでなく賞与も手取額ベースで決めるという場合が少なからずあるようですが、その源泉徴収税額を計算する場合には、手取額ベースで計算するというわけにはいかず、支給総額(手取額+源泉徴収税額)を基に行わなければなりません
 その具体的方法は、次の場合に応じ、それぞれ次のように求めます。





  (設例1)前月中に支払った通常の給与がある場合
  ・賞与の手取額                       1,000,000円
  ・前月中に支払った通常の給与の額            240,000円 
     (社会保険料控除後)
  ・扶養親族等の数                          2人
  ・給与所得者の扶養控除等申告書の提出           あり
注 賞与の額が前月中に支払った通常の額の給与の額の10倍を超える時は、(設例2)と同様に計算します。
                                     
(税額計算)
@ 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の「甲欄」より、「扶養親族等の数」が2人、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が240,000円である場合の「賞与の金額に乗ずべき率」4%を求めます。
A @で求めた率を次の算式にあてはめて得た金額が税額です。

 賞与の手取額×A{前月の社会保険料等控除後の給与等に対する率(@の率)} 
                     100-A
 
= 1,000,000円 ×

100-4

           
 =41,666円(円未満切捨て)
  



                                  
 

 (設例2)前月中に支払った通常の給与がない場合
   賞与手取額・扶養親族等の数は(設例1)と同じ

(税額計算)
@ 手取賞与の6分の1(賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超えるときは12分の1)の額を求めます。
   1,000,000円÷6=166,666円
A @で求めた額を税引後の給与の額とした場合の源泉徴収税額610円を求めます。(下記表を参照)
  ※その税額の欄を下方に順次みていき、その欄の税額と@の金額との合計額が「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」に当てはまるところを見つけます。その欄の税額が求める税額です。
B Aで求めた税額を6倍(又は12倍)した額が賞与から源泉徴収する税額になります。
 源泉徴収税額=610円×6=3,660円