第五回 実務のポイント
15.1月更新

 退職金を分割支給するとき 
Q4−1
 このたび、当社の社員が退職しますが、資金繰りの都合で退職金を2回分割して支給します。この場合の取り扱いを教えて下さい。
 退職手当の総額に対する税額を求め、その税額を分割支払額に按分して源泉徴収します。
 退職所得の収入金額の収入すべき時期
 所得税では、退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によることとされています。したがって、退職金が分割で支給される場合においても、退職所得は分割計上せず、その退職の日にその総額を収入金額として計上しなければなりません。
 分割支給の場合の源泉徴収
 支給額が確定している退職手当を分割して支払う場合において、その総額に対する税額の全額をその初回支給分から徴収するとその税負担はかなり大きいものとなり、また、場合によっては手取額がマイナスとなってしまう場合も考えられます。
 したがって、このような場合は、
@ 退職所得等の総額に対する税額を計算
A その税額を各回の支払額に按分して源泉徴収税額を計算
ということになります。
  設 例
・退職金の総額                1500万円
 第一回支給  平成14年12月31日   1000万円
 第二回支給  平成14年 1月31日    500万円

・勤続年数 24 年
(1) 退職所得等の総額に対する税額
 @ 退職所得の金額
    退職手当等      退職所得控除額
   [1500万円−{800万円+70万円×(24年−20年}]×1/2=210万円 

 A @に対する税額
   210万円 × 10 %=21万円
(2) 各回の支払額から徴収する源泉所得税額
 @ 第一回   21万円×1000万/1500万=14万円

 A 第二回   21万円−14万円=7万円
  なお、分割支給した退職手当にかかる税額は、その徴収した月の翌月10日までに納付します。設例ですと、平成15年1月10日に14万円、平成15年2月10日に7万円を納付することになります。
  ただし、会社が納期の特例の承認を受けている場合には、その定められた期限が納期限になります。
◎ 手形で退職金等を支払う場合
  支払期日に退職金の支払があったものとして源泉徴収することとされています。
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