第四回 実務のポイント
12/1 更新
= 解雇予告手当を支給するとき =
Q4−1
当社では、このたび、従業員を解雇するに当たり、解雇予告手当を支給します。この解雇予告手当の取り扱いを教えて下さい。
  退職所得として源泉徴収します。
○ 解雇予告手当の取り扱い
   その前に退職所得とは...
     退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与
@ 退職という事実によってはじめて給付されるものであること。
A 従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払いの性質を有するものであること
B 一時金として支払われるものであること。
C 上記の要件を備えていなくても、実質的に同様であると認められるものであること
と、いうことで、退職する理由はどうであれ、退職により受ける一時金は、退職所得となります。
 ところで、会社が社員を解雇する場合には、労基法により、すくなくとも30日前にその予告をしなければならず、予告していない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないこととされていますが、この規定に基づく解雇予告手当は解雇、すなわち退職を原因として一時に支払われるものであることから、給与所得ではなく、退職所得として取り扱われることとされています。
したがって、解雇予告手当からは退職所得に対する所得税の源泉徴収をしなければなりません。
○ 解雇処分にかかる紛争解決金(慰謝料)
なお、解雇が不当解雇であるときは争いになり、慰謝料の支払いによって解決する場合がありますが、この場合の解決金は、内容によって次のように取り扱われます。
解 決 金 の 内 容
@ 既往の給与及び賞与に相当するもののうち、支払われていない部分と認めたれるもの 給与所得
A 支払いが遅れたことによる遅延利息相当部分と認められるもの 雑所得
B 不当開講による精神的苦痛に対する損害賠償金に相当するもの 非課税
C 残額 一時所得
@については給与所得に対する源泉徴収が必要。
○ 再就職準備休職期間の支給
また、会社が社員を解雇せず、社員から希望退職者を募集するという場合に、再就職準備期間(休職扱い)を設け、手当を支給するという場合がありますが、この場合に支払われる手当は、退職準備のための手当ですが、雇用契約に基づくものであり、給与所得として源泉徴収しなければなりません。
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